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音楽制作に関することをメインに、他には趣味の話もぼちぼち書いているブログです。

カセットテープやレコードが流行った理由はアナログ音源特有の音にあり

Two free splicing blocks with each reel!

カセットテープやアナログのレコードが音楽愛好家の一部でブームになっているという話は最近よく聞きます。
それに伴って、レコードやカセットで新曲をリリースするミュージシャンも増えてきました。
私も、先日訪れた某イベントで、カセットテープ形態で曲を売っているブースを見かけました。

デジタル化や高音質配信が行われている今に、なぜ全時代的な再生機器を支持するのか、気になるところがあります。

ファッションやノスタルジーだけではこのブームは説明できない

レコードやカセットテープのブームのきっかけは、海外のミュージシャンがカセットテープで新譜をリリースしたことに始まります。
現代にノスタルジックを感じさせるカセットが受けたのか、それ以来国内海外問わず様々なミュージシャンがカセットテープやアナログレコードなどの古い媒体での新譜をリリースするようになったと言われています。
あの、世界一殺害予告をされている超有名ミュージシャンもカセットテープで曲をリリースしていますね。

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確かにこの状況、カセット現役世代にとってみれば奇異でしょう。
カセットにそこまで馴染みのない私にしても、わざわざ不便な方法で音楽を聞かなくてもと思ったほどです。

ただ、このブームは一過性のものでなく、結構長めに続いています。
ちょっとググって見ただけでも、おおよそ2〜3年前ぐらいにはそんな話題が出ていたようです。
カセットテープやレコードが現在に受け入れられたことには、ファッション性だったりノスタルジーばかりが理由ではないのでしょう。

ミュージシャンがアナログに惹かれている

そもそも、カセットテープやらレコードやらをリリースするミュージシャンとしても、アナログ盤を用意するのはなぜでしょうか?
一過性のブームなら最初のうちは面白がってかもしれませんが、用意するコストがかかるものをブームが始まってから今に至るまでにわざわざ用意するには理由があるはずです。

そんな理由の一つが「ミュージシャンがアナログに惹かれたから」ではないでしょうか?

デジタル全盛期な現在ですが、音楽の分野では再生機器以外のことでもアナログの技術が当たり前のように存在しています。
太くて存在感のある音が特徴のアナログシンセサイザーにしてもそうですね。

アナログな再生機器に世間が注目したことで、ミュージシャン側もアナログ独特の空気感を再発見し、新たなる表現の場としてのアナログを見出したのです。
過去を振り返るためにアナログを選んだのでは決してなく、先に進むためのアナログを選択したということなのです。

ちなみに、アナログとは「ある情報を別の連続した物理量で表示する」という意味であり、古臭いものとか劣っているものという意味ではないので悪しからず。

アナログ音源の良さはノイズにあり

カセットやレコードなどのアナログ音源と、今が花盛りのデジタル音源。
それらの最大の違いはノイズの有無です。
アナログ音源には再生時にサッーというノイズがどうしても混ざってきますが、デジタル音源には製作者が意図してノイズ成分を付加していない限りはクリアな音になります。

実のところ、このノイズこそがアナログ音源の音の良さに繋がってきます。
ノイズというと悪いイメージを持ちがちですが、こと音楽においてはノイズは必ずしも悪いものではありません。
現に、アナログ音源が醸し出す空気感や音の太さの正体は、アナログ音源の再生時のノイズによるものです。

ミュージシャンはなぜシンセサイザーやエフェクター、ミキサー卓などにアナログ機材を求めるのか?
そう答うと「音に太さや厚みを出すため」などというよくわからない答えが帰ってくるものですが、実際やっていることは音にノイズを付加することなのです。
もちろん、耳障りに聞こえるノイズではなく、聴く人を心地よくさせる質感のノイズをです。
最近ではアナログ機材がなくともアナログの質感を出すように音を加工するソフトウェアなどもあるぐらいです。

そして、そんなカセットやレコードの音の質感がミュージシャンたちの音楽性とマッチした結果、彼らはアナログ音源をリリースすることにしたのでしょう。
そして、そういったミュージシャンが追い求めた音を聞くために、耳ざとい音楽愛好家たちは再生機材を揃えた。
これもまた、カセットやレコードが現在に流行った一因なのでしょう。