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現代楽器がストラディバリウスに勝ったとして、それが何をもたらすか?

Stradivarius

ストラディバリウス負けた!聴衆は現代製に軍配 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

最高のヴァイオリンの代名詞でもある「ストラディバリウス」、そんな楽器が現代の楽器に負けたというニュースが飛び込んできました。
いや、現代の楽器がストラディバリウスに勝ったと言うべきでしょうか。

本記事ではストラディバリウスについて、現代の楽器がストラディバリウスと対決する意味について触れてみたいと思います。

ストラディバリウスとは?

ストラディバリウスとは楽器制作者である「アントニオ・ストラディバリ」によって製作された弦楽器のことです。
それらは「ストラド」とも呼ばれているようです。
ストラディバリウスと呼ばれる楽器はヴァイオリンを始め、ヴィオラ、チェロ、マンドリン、ギターなど様々ありますが、その中でもよく取り上げられるのがヴァイオリンです。

ヴァイオリンという楽器自体、今の形になってから500年間ほぼ形の変わっていない完成された楽器ですが、その中でもストラディバリウス・ヴァイオリンは250年以上にも渡ってヴァイオリン製作の模範的なモデルであり続けている楽器なのです。

ですが、ストラディバリウスの製作技術はストラディバリ死と共に遺失してしまいました。
彼と共に働いていた楽器制作者が技術を継承していそうなものですが、当時の政治的な理由から楽器製作の伝統そのものが失われたようです。

ストラディバリウス・ヴァイオリンはヴァイオリンの傑作であると同時に、現代に遺されたミステリアスなオーパーツのような側面も持っています。
こういった側面もまた、ストラディバリウスが人々の心を掴んで離さない一因なのです。

音の良し悪しってなんだろう?

今回の対決では現代のヴァイオリンの方がストラディバリウス・ヴァイオリンよりも好まれるという結果になりました。
ですが、音の良し悪しとは一体何でしょうか?

楽器の音なんてものは様々な要素に左右されます。
例えばヴァイオリンの場合、音の傾向を決めるのは本体だけにあらず、右手に持つ弓によっても左右されます。
その他には弦だったり楽器自体のセッティングだったり、あとはヴァイオリンを演奏するホールによっても変わってきます。
もちろん演奏者によってもです。

演奏する曲目によっても良し悪しの基準なんて変わりますね。
古典的クラッシックを演奏するのか、ポップス曲を彩るストリングスを演奏するのか。
音楽に貴賤はないですが、それを演じる楽器が合うか合わないかはあります。

音の良し悪しなんて時と場合によって変わってしまう曖昧なものなのです。

勝負する意味はあるのか?

だからと言って現代の楽器とストラディバリウスとが対決する意味がないのかといえばそうではありません。

なにせ、ストラディバリウスは楽器制作者にとっての憧れであり、打ち破るべき壁でもあるからです。
また、楽器制作者だけでなく科学者たちにとっても、遺失したストラディバリウスの技術の再現は重大なテーマの一つなのです。

250年以上にも渡ってヴァイオリンの王者に君臨するストラディバリウスの謎を解き明かし、さらにはストラディバリウスを超越した楽器を製作する。
それらはきっと次世代の音楽への架け橋となることでしょう。

そのためにも、現代の楽器制作者はストラディバリウスと戦う運命にあったと言えるのです。

それでもストラディバリウスは人類の宝であり続ける

今回の対決では現代製のヴァイオリンに軍配が上がりました。
ですが、このことでストラディバリウスの価値が下がるかというとそうではありません。

なにせストラディバリウスは最高の楽器というだけでなく、人類にとってかけがえのない宝でもあるからです。
それは、美術の世界で言うところのダ・ヴィンチやピカソの絵画のようなもの、言わば人類の文明のマイルストーンです。

偉大なる先人の作り上げたストラディバリウスに現代の技術が追いついた、これによって我々は新たなる音楽への扉を開いたのかもしれませんね。