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音楽制作に関することをメインに、他には趣味の話もぼちぼち書いているブログです。

Ableton Live専用コントローラー「Ableton Push 2」レビュー

Ableton Live用コントローラー「Ableton Push 2」を導入してしばらく経ちますが、これ一つで制作が劇的に変わった実感があります。
作業効率の向上はもちろん、なによりLiveでの音楽制作が楽しくなりました。
今では音楽制作していないときでもLiveを立ち上げてポコポコパッドを叩いたり音色探しなどをしているほどです。

そんなわけで、Ableton Push 2のレビュー記事を書きます。
この記事がこれからLiveやPush 2を買おうか検討している方への一助となれば幸いです。

Liveがハードウェア化する

Push 2に対する感想はファーストインプレッションの頃とそんなに変わらず、Liveをフレキシブルに操作できたり、Liveでの音楽制作を激変させるポテンシャルを秘めていると感じます。
ファーストインプレッションは以下の記事を参照ください。

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こういったことを一言にまとめると「Liveをハードウェア化するコントローラー」でしょうか。
音楽制作に関するハードウェアにはシンセサイザー、シーケンサー、レコーダーなどがあり、本ブログでもそいうったハードウェアを紹介しています。

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Push 2はコンピューターで動作するソフトウェアのLiveにハードウェアのような直感的な操作を可能にし、音楽制作作業のスピードアップが計れます。
そしてなによりも作業に対するストレスがないのがうれしいです。
やりたいと思ったことがパパッとできるそれだけでも、思いついたアイデアをすぐに実現しやすくなります。

Push 2が得意なこと

Push 2はLiveでの制作をより便利にしますが、その中でも以下のようなことが得意です。

ドラムの打ち込み

Push 2はLiveでのドラムの打ち込みが得意です。
そのため、斬新なリズムや複雑なリズムを次々と打ち込めるようになり、楽曲の要ともいうべきリズムパートのクオリティが上がります。

Push 2ではLiveのDrum Rackで構築されたドラムキットに対して、64パッドにてステップシーケンサーを提供します。
これがなかなかハードウェア的に使いやすく、しかもベロシティの強弱をハードウェアのシーケンサーよりも細かく入力しやすくなっています。

もちろんステップシーケンサーだけでなく、64パッドを叩いてドラム演奏をレコーディングすることもできます。
64パッドもあると多くの音に一気にアクセスできるので、リズムパートにいろんな音を入れ込みやすくなるのもいいですね。

メロディやコード進行の組立

Push 2はメロディやコード進行の組み立てもいけちゃいます。
Push 2の64パッドはリズム系はともかくメロディやコードなどは厳しそうと思うかもしれませんが、こんなピアノっぽい曲の制作もこなせるので、私としてはむしろ得意な方だと思っています。

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確かに64パッドは音階をつけた演奏が可能ですが、見た目には快適な演奏ができそうにないようにも思えます。
ですが、見た目とは裏腹に64パッドの音階には音楽的な配慮がなされており、Push 2を触った途端に思いがけないメロディに出会えるでしょう。

また、コードに関しても64パッドの音階は調やスケールに従って配列することができるので、どんな調やスケールでも同じようなコードの押さえ方で対応可能です。
スケールにしても定番のメジャースケールやマイナースケールはもちろん、教会旋法や民族的な旋法のスケールも選択可能です。

私はメロディやコードの展開を考えるのが苦手な方だったのですが、Push 2を導入してからメロディやコードに幅をもたせられるようになりました。

Liveの操作

Push 2はLive専用コントローラーなので、Liveの操作が得意なのは当たり前。
ですが、その得意っぷりはこの場で挙げたくなるほどの出来です。

Push 2は配置された多数のボタンからLiveのよく使うコマンドに簡単にアクセスできるので、Liveをハードウェアライクに操作できます。
Live単体だとマウスを操作してクリックしないといけないことがPush 2ならボタン一つでできるので、作業速度が体感的に2倍ぐらいに感じられます。

Push 2上部のディスプレイとノブの存在も大きいです。
ディスプレイにはLive付属の音源やエフェクトのパラメータのほとんどを表示でき、それらをノブで操作できます。
外部プラグインにしても、Liveが検知できるパラメータならディスプレイに表示できますし、ノブで操作できます。
もちろんMix作業も可能。ミキサーのパラメータにもPush 2でアクセスできます。

使いやすいと評判のLiveですが、Push 2を導入することでさらに使いやすくなります。

Push 2が苦手なこと

Push 2も万能ではなく、やはり苦手とする部分はあります。

キースイッチによる音源のコントロール

最近の音源では低音部や高音部に音源をコントロールするためのキースイッチを設けているものが多くあります。
リアリティを追求する音源に見られることが多いですね。

Push 2は64パッドでの演奏の際にスケールを設定する使い方をする都合上、そういったキースイッチを操作するのが苦手です。
スケール設定により押せないキースイッチが出てきてしまうのです。

この問題を回避するには別のコントローラーをキースイッチ専用にするか、Max for Liveを用いてPush 2のノブをキースイッチに割り当てるなど、一手間の工夫が要ります。
手軽なのは前者で、KORG nanoKEYあたりなら安価なので気軽に導入できます。

ジャズ的なインプロビゼーション演奏

Push 2の64パッドはスケールに沿った演奏は得意ですが、逆に幾つものスケールを自在に飛び回るようなジャズのインプロビゼーション的演奏は不得意です。
もちろん全くできないわけでなく、スケール演奏を無効にすればできるようになりますが、Push 2が持つ演奏性は損なわれるでしょう。

まあ、もともとスケールチェンジを駆使しながらの演奏自体がどの楽器においても相当の修練を積む必要のあることなので、Push 2でも練習すればなんとなるのかもしれませんが。

Live以外での使用

Push 2は魅力的なコントローラーなので、Live以外でも使いたいことでしょう。
ですが、その望みはかないません。Push 2はLiveでしか使えません。

一応、PushシリーズをLive以外のDAWで利用する試みは図られているようで、下記の記事によると「PXT General」というソフトウェアと使うことでLive以外でもパッドを使った演奏が可能になるとのこと。

ableton PUSH on Steinberg Cubase – SUI OFFICIAL WEBSITE

ただし、PXT Generalは先代のPushのみの対応で、Push 2には未対応。
よって、Push 2に関してはLive以外で利用することは難しそうです。

Liveユーザーは1度触ってみてほしい

Push 2はその値段もさることながら、その見た目から受ける印象でも値段相応の価値があるのかと導入を逡巡してしまいがちです。
ですが、Push 2ユーザーの私からすればPush 2には値段相応の、いやそれ以上の価値があると思います。

Push 2が便利か不便かの印象を決めるのは実際に触ってみてからでも遅くないと思います。
実際に店頭で展示している場所がいかほどあるかはわかりませんが、ニッチなコントローラーゆえにそれほど多くはないはずなので、Push 2の導入を検討していたりPush 2について懐疑的な方は遠出してでも触れてみることをオススメします。

願わくば、Push 2が本記事を読んでいただいたLiveユーザーにとっての最良のコントローラーにならんことを。