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ペダルを漕いでいれば何処まででもいける・・・そう思っていた時期が私にもありました。

FM音源についてざっくりと調べてまとめてみた

楽器・機材 楽器・機材-ハードウェア

photo by rockheim

近年FM音源が再注目されています。

FM音源は登場当初こそ盛り上がりを見せましたが、技術の発展とともに一度は廃れます。

ですが、近年のポピュラーミュージックシーンではFM音源の独特な音が再評価され、再び盛り上がりを見せています。 最近ではYAMAHA reface DX、そしてYAMAHA MONTAGEなどの新時代のFM音源在り方を示す製品も登場しています。

ということで、本記事では再興するFM音源について簡単にまとめてみました。

FM音源とは

FM音源は、周波数変調(Frequency Modulation)を利用した音色合成方式を用いた音源のことです。

FM音源の特徴はアナログシンセサイザーでは難しい複雑な倍音成分を持つ波形を生成することができることです。 理論上はあらゆる音を生成可能とまで言われています。

一方、FM音源は音作りが難しいとも言われています。 なぜなら、アナログシンセサイザーと違い、パラメータ値を変えたことによる音の変化を予測するのが難しいからです。 ちょっとパラメータを弄っただけで、瞬く間に別の音に変質してしまいます。

肝心のFM音源の音ですが、明瞭で澄んだ爽やかな音から地を這う凶暴な野獣のような音まで、あらゆる音が出ます。 その中でも特にエレクトリックピアノの音が良いと評価されています。

さてこのFM音源の音、本記事を見ていただきている皆さんは日常的に聞いている音でもあります。 その一例が駅での発車メロディです。 発車メロディには後述するYAMAHA DX7というFMシンセサイザーを用いており、現在に至るまで親しまれています。


YAMAHA DX7で発車メロディ (Japanese train station melody)

誕生

FM音源はアメリカのスタンフォード大学で開発されたもので、これを製品化すべくヤマハがライセンスの独占契約を結び商品化に向けて開発が始まりました。

そして1981年、FM音源を搭載した最初のシンセサイザー「GS1」が誕生しました。 エレクトリックピアノをはじめとする複雑な倍音を含むリアルな音に定評がありましたが、260万円という価格もさることながら、本体で音色の編集ができないという課題があり、より低価格で便利なシンセサイザーを目指して開発が進みます。

伝説のシンセサイザー「DX-7」

GS1の登場から2年が経った1983年、今もその名を轟かせる伝説のシンセサイザー「DX7」が登場します。

DX7は6オペレーターのFM音源シンセサイザーで、GS1よりも性能をパワーアップさせ、さらに本体での音色編集機能を備え、それでいて価格はGS1の1/10。 DX7の登場は当時のシンセサイザー業界にとって大きな衝撃であり、現在に至るまでに音楽シーンやシンセサイザーのあり方に影響を与えています。

初音ミクとの関係

FM音源からは話が逸れますが、DX7が現在にも与えた影響としてメジャーなものの中に、ボーカロイドのキャラクターの一人である「初音ミク」が挙げられます。

初音ミクは少女とコンピューター的なモチーフを融合させたデザインが特徴的なキャラクターですが、その「コンピューター的なモチーフ」の元ネタになっているのが、このDX7なのです。 全体的なカラーリングはもちろん、初音ミクの腕についているカラフルなボタンみたいなものの元ネタは、DX7のインターフェースそのものなんですね。

ゲーム機の音源チップに採用

FM音源は大がかりなシンセサイザーだけでなく、チップ化されアーケードゲームや家庭用ゲームの音源としても用いられるようになりました。 昔のPCを弄っていた方であれば、ゲームで遊ぶためにFM音源ボードを増設したという方もいることでしょう。

ゲーム音楽が好きな人の中にはファミコンライクなチップチューンではなく、FM音源の音色を好む愛好家も多いです。 しかも、FM音源が搭載されているゲームを遊んだ経験のある方ってだいぶディープなところに足を突っ込んでいるもので、すごくマニアックな知識を持っているもの。 そのため、ミュージシャンでなかったり音楽に詳しくなくとも、FM音源のことだけはミュージシャンよりもよく知っているなんて方もいたりしますね。

FM音源の衰退

こうやって一つの時代を築いたFM音源ですが、技術進歩によってPCM音源の大容量化に伴い、次第に衰退していきます。

PCM音源とは本物の楽器を録音して、その音の波形を元に音を出すシンセサイザー音源のことです。 当時のシンセサイザーの目的は本物の楽器を再現することでした。 FM音源はかなり再現度の高い方式でしたが、さすがに本物をサンプリングした音を元にするPCM音源に再現度は敵うものではありませんでした。

時代とともにPCM音源はさらに大容量化&廉価化していったため、音作りが難しい割に本物の楽器の再現度はPCM音源に劣るFM音源はだんだんと隅に追いやられ、一部の愛好家のみが知るものとなってしまいました。

FM音源の再評価

歴史は繰り返すもので、そんなFM音源も再評価されます。 今度は本物の楽器を再現する目的ではなく、新時代の音色を作る目的で使われるようになりました。

FM音源には本物の楽器にもアナログシンセサイザーにもない独特の響きがあります。 そんな特徴に目をつけた現代のミュージシャンはFM音源を再発見します。

ダブステップ/ブロステップで有名なミュージシャンのスクリレックスがFM音源を使い、それが世間に受け入れられた頃から、いま流行りのEDMなどでもFM音源らしき音色を耳にするようになりました。

最近のFM音源

そういった最近のFM音源の再興の流れを受けて、各社がFM音源をリリースするようになります。 その種類は名器の再現したものから最新の音作りを可能にするものまで様々です。

ソフトウェア音源

Native Instrument FM8

現在のFM音源の代表格と言っても過言ではないソフトウェア音源です。 FM音源の複雑な仕組みをできるだけ排除したインターフェースが特徴で、これなしにFM音源の再興はありえなかったでしょう。

単体でも購入可能ですが、バンドル製品の「KOMPLETE」を買ったほうが何かとお得です。

DEXED

上で挙げたYAMAHA DX7を再現したソフトウェア音源です。

ちなみにフリーソフトで無料です。興味があったらダウンロードして使ってみてください。

Dexed

ハードウェア音源

KORG Kronos 2

9つの音源エンジンが収録されたモンスターシンセサイザー「KORG Kronos 2」にはVPM音源という名前でFM音源が収録されています。

KORG Volca FM

コンパクトな筐体にFM音源を詰め込んだポータブルシンセサイザーです。 初めてのFM音源としても、本格的な音楽制作のお供としても活躍できるシンセサイザーです。

YAMAHA reface DX

名器のDX7を生み出したYAMAHAがFM音源を復刻しました。 コンパクトな鍵盤一体型の筐体はどこかYAMAHA DX7を思い起こさせる風貌です。

YAMAHA MONTAGE

YAMAHA最新にして最強のフラグシップシンセサイザー「YAMAHA MONTAGE」にはFM-Xという名前でFM音源が収録されています。 MONTAGEは新時代を作るシンセサイザーとなるのでしょうか?目が離せない一台です。

参考資料

この記事を書くために以下のページを参考にしました。 私とてFM音源については知らないことばかりなので、これからも勉強を続けますし、その成果は本記事の続編としてアウトプットしたいと思います。

FM音源の原理 - コラム - ヤマハ株式会社

【第二章】 FM音源の登場と音楽制作時代の幕開け - ヒストリー - ヤマハ株式会社

シンセサイザー研究室

FM音源とは (エフエムオンゲンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

アナログシンセとはまったく違う、“誰でもわかるFM音源”講座 : 藤本健の“DTMステーション”