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musirak.com

ペダルを漕いでいれば何処まででもいける・・・そう思っていた時期が私にもありました。

働きつつ音楽活動するスタイル「サラリーマンミュージシャン」のすゝめ

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photo by vancouverfilmschool

サラリーマン、それは社会を動かす歯車となること。 個性を埋没させ、只々会社と家を往復する毎日を想像していることでしょう。 そういったありきたりな人生に嫌気が差して、音楽だけで食っていく専業ミュージシャンになろうとしている人は後を絶ちません。 それは社会へのささやかな反抗でしょうか?それとも迫り来る厳しい現実からの逃避でしょうか?

でも、サラリーマンやりながらミュージシャンやるってのも存外悪く無いですよ。 むしろ居心地がいいぐらいです。

メリット

日本はあらゆる制度や世の中の仕組みがサラリーマンに最適化した国です。 学業を修めて社会に出てサラリーマンになって定年まで馬車馬のように働く、そんなロールモデルから外れた生き方をするには辛い国です。

本項ではサラリーマンしながらミュージシャン活動をするメリットを紹介します。

金がある

ミュージシャンが最初にぶち当たる壁、それは音楽性でもプレイヤースキルでもなく金銭面の問題です。

ミュージシャンは収益を上げるまでが一苦労です。売れるようになるまでは不断の努力が欠かせません。

ですが、音楽ばかりにかまけていては、実家が資産家だったり金銭的な援助をしてくれる人がいないかぎりは、食う寝るところに住むところすらもままならない日々が続きます。 そのため、専業ミュージシャンを志すものの多くがアルバイトでその日暮らしの生計を立てています。

また、音楽で稼ぐにあたっては自分の好きなように音楽をできるなんてのはレアケースです。 大抵は自分の望まない音楽を生み出す機械になってしまいます。

一方、サラリーマンには金があります。 企業に滅私奉公した見返りとして、ささやかな賃金が約束されています。 このため、誰からも口出しされることなく、自分がやりたい音楽を追求することができます。 一般受けしにくいアーティスティックな音楽を目指しているのであれば、専業ミュージシャンよりもサラリーマンミュージシャンの方が立ち回りやすいでしょう。

社会的地位が保証されている

日本においては個人の社会的地位は国によって保証されているのではなく、企業が保証しています。 企業に所属していないというだけで、社会人失格の烙印を押されるのが日本です。

例えばクレジットカード。 ミュージシャンだったらクレジットカードを作るのすら困難なもの。一般的にはミュージシャンの社会的信用なんて皆無ですから。 ですが、サラリーマンならその辺の心配はありません。

この他にも企業に属していることで優遇されることが社会にはしばしばあります。 日本は「どんな仕事をしているか」ではなく「どんな企業に勤めているか」で人を見る国ですから。

社会のルールを知る

ミュージシャンって世間知らずというか常識が通じないというか、なんだか浮世離れしている感じがします。 アーティスティックな人ほどこういった印象を受けます。

そんなミュージシャンは絶好のカモです。 悪い大人も悪くない大人も、社会を形成する皆がミュージシャンの財布から金を抜き取ろうとします。

一方のサラリーマンは世の中の酸いも甘いも噛み分けています。 それもそのはず、サラリーマンは数多くの社会にはびこる嘘や不条理を浴びているからです。 「定時」や「週休2日」の真実を知ることはサラリーマンの洗礼の儀式、サラリーマンなら誰しもが通る道です。

また、対人スキルに関してもミュージシャンであると褒められるものではない方も当たり前のようにいます。 ですが、サラリーマンならこういうスキルは入社時に徹底的に叩き込まれるもので、この血の池地獄の特訓によって常識的な振る舞いができるようになります。 これもミュージシャンより一歩抜きん出るスキルですね。

このようなサラリーマンの強みを持ったミュージシャンは世間の荒波にも立ち向かっていけるでしょう。

スランプでも仕事がある

ミュージシャンにはどうやったって音楽が作れなくったり弾けなくなったりするスランプが訪れます。 こうなってしまったミュージシャンはスランプから立ち直るまで収入が激減することになり、それがさらなる焦りを生みスランプを長引かせる悪循環を生みます。

一方のサラリーマンはスランプに強いです。 なにせ、ミュージシャン活動においてスランプに陥っても、本業の仕事があります。 本業の収入があるために生活が安定することはもちろん、音楽から離れる環境を作ることもできるので、スランプからの立ち直りも早いでしょう。

デメリット

当然、サラリーマンとミュージシャンの二足の草鞋を履くということには相応のデメリットがあります。

時間がない

サラリーマンは朝早くから夜遅くまで、人によっては日付が変わるまで仕事をしなければならないものです。 こんな多忙なサラリーマンに音楽活動をする余裕があるものでしょうか。

退社から次の出社までにインターバルを設けると奨励金が出る制度ができるみたいですが、タイムカードを定時に切ってからも仕事を続けるサービス残業なる違法な労働形態が常態化している日本では効果があるものでしょうか。

退社→翌日出社、一定時間空けて 就業規則明記で助成 :日本経済新聞

それでもサラリーマンがミュージシャン活動に励むなら、仕事以外の時間を音楽のことを考え続けるしかないでしょう。 勉強やインプットは通勤時間にでもできます。 自己啓発本が音楽の理論書になり、英語のリスニング教材が最新のヒットチャートになるだけです。

急な転勤がある

サラリーマンは意思決定や生殺与奪を務めている企業に握られています。 いつ何時、上司から転勤を命じられてもおかしくはありません。

ミュージシャンが活動しやすいのは圧倒的に常に人の多い都市部ですが、サラリーマンはいつでもそんな場所に住めるとは限りません。 辞令一つで全国を行脚するなんて当たり前のこと。 結婚して念願のマイホームを建てた頃を見計らって転勤命令が下るなんてよくある話です。 バンドマンであればメンバーの転勤を機に解散や自然消滅なんてのも珍しくありません。

こんな劣悪なサラリーマンの環境においても、いついかなる時も熱い音楽への情熱を持ち続けなければなりません。 そのためにはミュージシャンとしてのあり方を模索する必要も出てくるでしょう。 例えば、YouTubeなどでミュージシャン活動をするなら、そういったデメリットは少しは軽減できるかもしれません。

ぶっちゃけ死にかねない

サラリーマンは意思決定や生殺与奪を務めている企業に握られています。 企業に死ねと命じられたら死ぬのもサラリーマンの仕事。 大げさなようですけど実際に働き続けて亡くなる方も少なくない現状、冗談の一言では済まされない事実です。

最近では「全人格労働」と呼ばれる会社と労働に自分の全てを捧げる働き方がさぞ当たり前のように蔓延しています。

仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」 - Yahoo!ニュース

こういったサラリーマンミュージシャンでなくても生きづらい社会人生活です。 企業や行政がサラリーマンを守ってくれるなんて淡い希望は捨てて、自衛策を講じてサバイバルするしかないでしょう。

会社では決して教えてくれない、うつにならない一番の秘訣について - あいむあらいぶ

専業も兼業も茨の道

専業でミュージシャンで食っていく、サラリーマンとミュージシャンを兼業するどちらもそれぞれのメリットとデメリットがあり、どちらが正しいかなんて誰にもわかりません。 ですが、どちらにも道は開かれていることでしょう。

みんなと同じ生き方が嫌だから就職せずにミュージシャンになりたい、働くことに嫌気がさしてきたのでミュージシャンを目指したい、就職活動中の学生や現職のサラリーマンの中にはそう思う人もいるでしょう。 高度経済成長期のように働き続けても明るい未来が見えない現代、サラリーマンに希望を見出せないのは仕方のないことです。

ですが、サラリーマンにはサラリーマンなりのメリットがあります。 そういったメリットを享受しつつ、ミュージシャンに限らず自分の描くビジョンに向けて活動するという選択肢も考慮してみてはいかがでしょうか。