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musirak.com

音楽制作に関することをメインに、他には趣味の話もぼちぼち書いているブログです。

ハードウェアMIDI音源は過去の遺物になってしまうのか

photo by eschipul

過去のプレスリリースですが、気になったことがあったので触れてみたいと思います。

prtimes.jp

業務用通信カラオケの新製品のプレスリリースですが、私が気になったのは以下の部分です。

【音質】

業界で初めて、全楽曲が楽器演奏を再現した「カラオケ専用生音源」に対応し、音のクオリティが格段に向上。ヨーロッパ音楽ソフトシェアNO.1(※2)であるドイツのMAGIX SOFTWARE社と共同で、ハイクオリティなカラオケ専用生音源「X-Leben」(エクスレーベン)を約2年の歳月をかけ、独自開発しました。

(※2) 2015年6月時点、MAGIX SOFTWARE社調べ

MAGIX SOFTWAREは写真、映像、音楽に関するマルチメディアのソフトを開発している会社です。 音楽に関するソフトだとSamplitudeやMusic MakerといったDAWを開発しています。

www.magix.com

以下はSamplitudeとMusic Makerの国内代理店のページ。

MAGIX SAMPLITUDE PRO X2 | フックアップ

Music Maker MX2 - 高性能音楽作成ソフトウェア

ソフトウェアメーカーのMAGIX SOFTWAREが音源を作った、すなわちカラオケにソフトシンセサイザーが搭載されたということです。

通常、カラオケ用のトラックは生演奏と謳われているもの以外は、通信容量削減のためにMIDIデータを用いており、カラオケマシンに搭載されている音源をMIDIデータによって演奏させています。 そして、カラオケマシンに搭載される音源として長らく使われてきたのがRolandのハードウェアMIDI音源 SC-88Pro*1、通称ハチプロです。

d.hatena.ne.jp

カラオケマシンにハードウェアMIDI音源が使われる理由としては、その安定性があります。 もしカラオケで盛り上がっているところで突然演奏が止まってしまったら、せっかく盛り上がっていた空気や気分が台無しになってしまいます。 ソフトシンセサイザーはハードウェアMIDI音源に比べるとフリーズやシャットダウンしてしまいやすく、安定性に欠けているというのが通説でした。

ところが、近年ではソフトシンセサイザーの開発にもノウハウが蓄積されているためか安定した動作をするようになり、さらにはカラオケマシン自体のスペックも向上しているため、ハードウェアMIDI音源に負けない安定性を獲得しました。 すると、ハードウェアMIDI音源の欠点である、専用設計ゆえの高価格というデメリットが目立つようになってきました。 そっいった事情から、ハードウェアMIDI音源によるカラオケの時代は終わりを告げ、ソフトシンセサイザーによるカラオケが実現されたのでしょう。

上記のことはDTMで使用しているシンセサイザーの事情から推測している部分が多いですが、おそらくそう外れてはいないと思います。

さて、そうなるとハードウェアMIDI音源は本格的に窮地に立たされることになります。 2012年にはRolandから今までの集大成とも言える「INTEGRA-7」が発売されましたが、これにしてもハードウェアMIDI音源のセールスを狙ったというよりは、「JOYSOUND f1」の音源部分を民生用の機器に流用したというものでしょう。

www.xing.co.jp

ソフトシンセサイザーによるカラオケが当たり前になってくると、今後ハードウェアMIDI音源が新たに開発されることは無くなるのだろうと思います。

あらゆるものがコンピューターに詰め込まれ、生活がコンパクトでミニマルになることは便利になっている証拠ではありますが、それと同時に寂寞を感じさせるところもありますね。

*1:正確にはSC-88Proの音源基盤