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musirak.com

音楽制作に関することをメインに、他には趣味の話もぼちぼち書いているブログです。

コピーバンドは違法になるの?編曲権が抱える課題

photo by CarbonNYC [in SF!]

始めに言っておくが、この記事ではコピーバンドを批判するつもりは毛頭なく、コピーバンドを結成して人前で演奏する行為が違法になるという現在の法整備に異を唱えるものだ。

また、音楽の問題となると「またカスラックが・・・」と思うかもしれないが、この件に関してはJASRACは関係ない。
JASRACが管理しているのは歌詞とメロディーのみで、編曲に関しては関与していない。
それというのも、編曲権は著作人格権であるため作曲者本人から切り離せないためだ。

編曲権が絡んだ騒動

おふくろさん騒動

作詞家・川内康範が作詞した楽曲「おふくろさん」の歌詞を、歌手・森進一が勝手に改変したとして起こった騒動である。
この騒動は裁判沙汰になることはなかったが、裁判しても著作者の川内の意に反した改変がなされたことを根拠に森側が敗訴することになっただろう。
結局は森、遺族、弁護士が記者会見を行った場で、おふくろさんの歌唱を解禁された。

PE'Z(ペズ)の大地讃頌

ジャズバンドのPE'ZがJASRACに使用料を支払った上で大地讃頌をアレンジしリリースしたが、大地讃頌の作曲者である佐藤眞が「著作権法上の編曲権と同一性保持権を侵害するものである」と仮処分を申請した。
結局PE'Z側が佐藤の要求に同意し、佐藤もまた訴えを取り下げたことで和解が成立した。

ただ、こちらの問題に関しては、どこまでの編曲が同一性保持の範囲に当たるのかを世に知らしめるためにも、法的な結論を出して欲しかった。

ちょっとでも勝手に変えたら違法

現行の法律を当てはめると、原曲をちょっとでも変えると違法になる。
以下の例も違法になるのだ。

  • ギターソロが難しいので簡単なものにした
  • メンバーが足りない状態で演奏した
  • 楽器編成が原曲と違う
  • ライブの尺の都合上、曲をカットした

この場合、ピアノソロ、ギターの弾き語りなども違法になるが、バンドスコアやピアノ譜、ギター譜等が出ていたら、それを参考にしたと主張できる。
思わず口ずさんでも口笛で吹いても鼻歌を歌っても原曲を編曲している扱いになるが、それが不特定多数の誰かに聞かせる目的でないなら著作権法が定める私的利用の範囲内なので問題はないと解釈できる(ネットラジオなどの場でやったらアウト)

さらには演奏中に歌詞やフレーズを間違っても、それが編曲とみなされて違法になる可能性が高い。
さすがに大げさに書きすぎた感があるが、厳密に法律を当てはめていくとこう解釈せざるをえない。

とは言え、今まではこういったことで問題になることは殆どなかった。

著作権の非親告罪化でコピーバンドが摘発される可能性が出てくる

ところが、著作権が非親告罪になるというと話が違ってくる。
TPPの交渉の中で、日本でも著作権の非親告罪化が適用される可能性が出てきたので、注意が必要だ。

著作権の非親告罪化によって、前項で挙げたことが第三者の通報でも摘発される可能性が出てくる。
著作権について警察や検察が今まで以上に介入する可能性はないものの、民間から通報があった場合はさすがに動かざるを得なくなる。
その結果、コピーバンドやライブハウスへの強制捜査なんて展開もありえなくはない。
ちょっこしたことで炎上する現代だ。面白半分、報復行為、正義感の大盤振る舞いついでに通報する未来など容易に想像できる。

コミケなどの同人即売会が危惧していることは、音楽界においても対岸の火事ではないのだ。
音楽を始めるきっかけとなるコピーバンドという手段がなくなったら、音楽を志す人材が減る。
また、ライブハウス側も法的リスクを避けるために、アマチュアの出演を禁止することになるかもしれない。

今は皆が犯罪者になるような法律が施行されている。
時代に合わせて法律のメンテナンスをするのは大切なことだ。
権利者を守ることも大切ではあるが、権利者が生み出したものを皆が正しく使えるようにすることもまた、文化の発展のために重要だ。

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